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本稿の目的

本稿では,MaTXの初心者を対象として,簡単な使用法と, システムのシミュレーションを行う方法を紹介することを 目的としています.

具体的には,インタプリタやコンパイラによる計算の行い方を 紹介した後に,線形微分方程式のシミュレーション方法を紹介します. さらに,非線型システムとしてロボットを取り上げて, その制御方法も絡めながらシミュレーションプログラムの例を 示していきます.

本稿を理解するためには,何らかのプログラミングの経験がすこしは必要です. もしもC言語をご存じならプログラムの流れを容易に理解できるでしょう.

本稿では,最終的にシミュレーションが出来るようになることを 目的としていますので,常微分方程式や行列演算はたびたび登場します. したがって,

\begin{displaymath}
\dot{x}(t) = - 2 x(t), \hspace*{1zw} x(0) = 5\end{displaymath}

の解が,x(t) = 5 e-2tになることや,

\begin{displaymath}
\left[
\begin{array}
{c}
 1 \\  2 \\ \end{array}\right]
\lef...
 ...left[
\begin{array}
{cc}
 3 & 4 \\  6 & 8 \\ \end{array}\right]\end{displaymath}

が理解できない方は,高校の数学の教科書と共にご覧になることを お勧めします(がんばってください).

非線型システムのシミュレーション例として, 後半では2軸のスカラ型ロボットマニピュレータを取り上げています. すこし難しく感じるかもしれませんが, ロボットに関する予備知識がなくても,運動方程式と想像力があれば シミュレーションプログラムは書けますので,安心してください. PID制御のPIDが何の略かを知っていらっしゃるのなら,余裕をもって 理解することができるでしょう.

本稿はなるべく短時間でシミュレーションを行えるようにする事を めざしているので,登場するMaTXの機能は必要最小限にとどめました. 各所に公式リファレンスマニュアル[1]の 対応個所を付記しておきましたので,詳しい機能について知りたい方は, そちらを参照してください.皆さんの直感力に期待します.



Kenichiro Nonaka
5/15/1998